左で巻くデメリット、メリット。

 

基本的に左利きの自分は、タイイング用品のみならず、生活の中で使うもの全てが右利き用に出来ている事で、不便に感じられる事が多いです。キッチンまわりなどシンクからガス台まで左方向に向かっていますが、これが逆なら良いのにと常日頃思っています。同じように、左利きの人は不便を感じていることも多いはずです。

左巻きタイヤーと言うのもあまり聞いた事がありません。特に日本では、ほとんど居られないように思います。毛鉤会の左利きトクさんことコツじろうさんは、右利きポジションで通常とは逆にボビンを回す特殊な?タイヤーです。何か不便を感じられていたのでしょうか。

自分は、毛鉤を巻き始めた時は、例に習い右で巻き始めました。その後、剣羽根と言うマテリアルに出会い、その出来栄えを追求する過程で、左でも巻いたので今では両方で巻けるという具合です。ただ、車の方向指示器とワイパーを間違えるようにウィップフィニッシャーの持ち手を間違えてしまったりしますが。

今まで通常通りに、右でタイイングしてきましたが、最近は、左でタイイングしています。これまで、右で巻いていて、タイイング手順と言うより、ツール類の扱いで不便を感じてきました。

 

*その不便さを特に感じる瞬間は↓

 

  • ハサミを持つ手が逆なので、切る作業全般的にやり辛い。ハサミを持つ手が反り返る状態にしなくてはいけなかったり。
  • 肝心のハサミに、タイイング専用の左利き用ハサミが無い。あっても超高価。(Kavaシザースなど)右利き用を普通に使うと、ハサミにより歯の噛み合わせの関係で、マテリアルが逃げてしまう。(ちゃんと切れない)
  • ヘッドセメントなどを着ける時に左手でボドキンを持って行うので、余計なセメントがマテリアルに付着してしまうことがある。
  • エルクヘアやテール材など、切り出してフックシャンクに添え留めるタイプのマテリアルの場合、切り出してから持ち替える作業が入る事で、せっかく揃えたマテリアルがバラけてしまう事がある。

などなどなど…

 

 

*逆に、左利きらしく左ポジションでまく時の不便さは↓
  • スレッドは、どのスレッドでも細い繊維を縒ることで強度と細さを実現しています。この縒りの入った方とは逆回転が入るように巻いていくので縒りが解けてしまう。
  • この解けた状態から、通常のスレッドの縒りとは逆方向に縒る作業がいちいち面倒。
と言うのが↑挙げられます。左でツールを扱う場合、これ以外に感じません。
 
しかし、このスレッドの縒りについては、ポジティブに捉える事ができます。
スレッドスプリットのテクニックはもとより、下巻き時や、凸凹のない綺麗な面を作りたい時には、縒りを解いた状態で巻く事で綺麗に作る事が出来ます。
左で巻いていると自然に解けていく縒りは、むしろ縒りをコントロールし易いのでした!
右で巻いていると、常に縒りと同じ方向に巻いているので、より縒り付けられても、縒り戻ししない限り解けることはありません。この縒り戻しの作業が、ほとんど必要無くなった事は、自分の中で結構大きかったりします。
縒りをコントロール出来るとポジティブに考えれば、左利きタイヤーの抱える不便さは、ほとんどのツールが左右利き手に関係なく使うことができるので、ハサミ本体を除いて皆無になるのではないかと思います。
 
毛鉤は、出来栄えに関わらず釣れます。どうせなら完成度に拘りカッコよく美しい毛鉤で釣りたいと思い、右巻きから左利きに転向を視野に入れて来ました。
さらなる自己満毛鉤を目指して、このままメインは左巻き、時々、右巻きに転向することにしましょう。